日本の主要死因別死亡者数において第1位は悪性新生物、第2位は心疾患,第3位は老衰、それに続く第4位として脳血管疾患が続きます。(総務省統計局ウエブサイト)。
国民のおよそ8-9人に1人が脳血管疾患で亡くなっています。第1位の悪性新生物は肺、胃、結腸、その他の癌や白血病を含みますので、単一臓器疾患の死亡原因としては心臓と脳が最も多くなります。
心臓疾患は虚血性心疾患と不整脈が大部分ですが、脳疾患は脳血管疾患の他に外傷、腫瘍、感染症、てんかん、変性疾患、先天奇形など、多様な病態が起こります。脳神経外科ではそれらの多様な脳・脊髄・末梢神経疾患に対する診断、手術治療並びに非手術治療、予防、リハビリテーションと幅広い領域を担当しています。従って、脳神経外科医は、脳疾患という頻度の高い疾患の治療を担うとともに、脳・脊髄・神経機能といった人間が社会生活を営む上で最重要な機能の維持・回復に関わっており、熟練した脳神経外科医の社会への貢献度は非常に大きいといえます。
外科医の研修にとって重要なのは、経験症例数に加えて教育の質です。
獨協医科大学脳神経外科における症例数は、種類の多彩さ、質、量そして教育体制ともに国内トップクラスです。日本脳神経外科学会が定める専門医になるための認定に最低必要とされる症例経験数は、以前より幅広く、また疾患も詳細に要求されるようになりました。(詳細は日本脳神経外科学会のウエブサイト参照)初期研修終了後、脳神経外科学会認定専門医のもとで通算4年以上で経験すべきとされているこの症例数は、獨協医科大学では1−2年で充分に満たすことができます。
更に、脳神経血管内治療学会治療専門医・指導医、脳卒中の外科学会技術認定医・指導医、脊髄外科学会の認定医・指導医、神経内視鏡学会技術認定医などを取得するのに必要な症例数も十分経験できます。近年進歩の著しい脳血管内治療や内視鏡手術に関しては、これからの脳神経外科医にとって必須の治療になりますが、それらの症例経験も十分にできる体制が整っています。
私たちは毎朝カンファレンスを行い、全ての症例の神経所見、画像所見、診断、治療方針について、各分野のスペシャリストを含む全員で検討することで、自分の担当する患者さん以外の症例も勉強できます。日常的に知識習得の場を持つことで、各専門分野の深い知識を知らず知らず身につけることができます。
また、脳、脊髄腫瘍を中心に、毎週神経病理の専門家と顕微鏡を見ながら病理所見、臨床所見、病理診断についてのカンファレンスも行われています。
当直と宅直は約10人交代でしていますので、各個人は当直・宅直の各々が月に3-4回当ります。
月に1-2回はoff dutyの土日が当ります。月に1-2回は忙しくて夜間に手術することもありますが、通常の夜は自宅で眠れます。宅直でない日は自宅に呼び出しがかかることは滅多にないため、メリハリのある生活が送れます。