診療内容

診療内容

頭部外傷

スポーツによる脳振盪

SRC (Sports Related Concussion)

近年、スポーツによる頭部外傷/脳振盪に対する関心が高まっています。さまざまな種目が進化し、技術レベルやスピードが上がるにつれて怪我を負うリスクが増していることは確かなようで、まれに遭遇する重症例をメディアが大きく取り上げることもあります。しかし、頭を打って意識がなくなった、まひやけいれんを呈した、などの受傷者をただちに救急搬送すべきことに議論の余地はなく、本人やチームにとっては大問題ではあるものの、その判断に悩まれることはないでしょう。

問題はむしろ(一見)軽症(そうな)例であって、のちに具合が悪くなることはないか、このまま帰宅させてよいか、近くの医療機関でCTを撮ったほうがいいか、など、専門医であっても判断に悩むことはまれではありません。またスポーツよる外傷は、軽症であればあるほど速やかにその現場に戻り、再び受傷する危険性も生まれます。受傷を繰り返すことで重篤な状態になったり、長期的な後遺症を残したりする可能性も指摘されています。

スポーツの現場で生じた脳振盪にどう対応するかについては図に示すConcussion Recognition Tool 5(邦題:脳振盪を疑ったら)が公開されており、Tokyo 2020の医療ボランティアの皆さんの研修にも使われました。また、もう少し詳しい資料として日本臨床スポーツ医学会による「頭部外傷10か条の提言(第2版)があります。是非ご参照ください(https://concussionjapan.jimdofree.com)。

担当医の荻野は、我が国におけるこの分野のリーダーのひとりで、上記のふたつの資料作成の責任者でもあります。とりわけ高いレベルでプレーしておられるアスリートの皆さんが、脳振盪後の症状が長引いたり、競技復帰後に再発したりで悩まれることはまれではありません。プレー継続の可否や競技への段階的復帰について、ご不明・ご不安な点がある方はご相談ください。他の診療科や県内他施設などとも連携して、有効な解決法を模索しましょう。

担当医:荻野雅宏

脳震盪を疑った時のツール(CRT 5©)

脳震盪を疑った時のツール(CRT 5©)
脳震盪を疑った時のツール(CRT 5©)